第658回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第657話 奮戦、水上部隊の活躍の事。 2013年12月10日火曜日の投稿です。
負傷者が続出して、 ズルズルと後退し、 元の憲兵隊の建物に、1度後退したのでした。
120名近い、ロシア人の共産ゲリラ勢力と、15名とでは、火力の差があったようですが
15名で、捨て身の攻撃をかけ、まさに、見敵必戦主義の見本のような戦いであった
のです。
ちょうど、その頃、第1部隊の水上大尉の率いる90名が、ノーベル商会の建物から
ひと区画はなれた、 反対の北側から転進してきて、 共産党ゲリラの参謀長 レホフの
率いる120名の部隊と、道路を挟んで、銃撃戦になったのでした。
水上大尉は、 皇軍伝統の突撃ラッパを吹いて、 一斉射撃後、「 突撃ーー。」
と、号令をかけて、 共産党のゲリラの立てこもるアルべート商会の建物に
集中攻撃をかけ、 ダイナマイトを、窓から投げ入れて、爆破し、海岸側の公園を占拠し、
機関銃分隊を配置して、 射撃を始めたのでした。
弾薬ベルトの装着が終わると、「 ダッーダッーダッーと、テンポの遅い独特の
射撃音がつづきまして、 ゲリラ側の建物は炎上し、紅の炎が上がったのでした。
香田一等卒の手記には、このダイナマイト攻撃で、共産党ゲリラのレホフ参謀長
を討ち取ったと、記述があるのですが、本当に戦死したのか、あるいは負傷した
のか無傷なのか、確認した者は無く、 未確認です。
一方、市民会館を、経由して、ノーベル商会に向かっていた、第2部隊の前衛
は人影を見つけて、「 だれかーーーーっ 水戸。」と叫んだのです。
すると、通りの角から、「 梅。」と、叫び声があり、水上大尉の伝令と遭遇したの
でした。
ぱっと、敬礼すると、前衛の河本中尉に、「水上大尉の伝令であります。」
告げると、 後ろから来る、石川少佐の前に進み出で、「 部隊長殿、
申告いたします。 ノーベル商会を急襲したるも、敵兵おらず、目下部隊は、
銃声のする、陸軍憲兵隊の方向に転進中、以上終わり。」と、報告があったの
です。
ちょうどその頃、 後の兵士から、「後から敵兵が接近してきます、
兵力不明なるも、多数です。」と、報告があり、 石川少佐は、「全員、建物に
入って、ここで防御して、 水上部隊の後方を防備する、 散開、急げーー。」
と、命令すると、 伝令に、「 貴様は、すぐ水上の所に帰って、後方、北側から
敵軍、 警戒を厳とせよと、つたえぃ。」と、命令をだすと、伝令は、元来た道を
走り去ったのです。
第2部隊60名と、通りを挟んで、銃撃戦が始まったのでした。
一方の元に戻って、ダイナマイト攻撃と、銃剣突撃などで、共産党軍を圧倒して
いた水上大尉は、軍刀を振りかざして、 「 おせおせーーーぃ。おせーーい。」と、
命令を連発、どんどん、「 おりゃーーーーーーー。」と、かけ声と、突撃ラッパの
周辺を確保しまして、陸軍憲兵隊の残余部隊と合流し、市街中央部の嶋田商会
の建物を目指して、進撃したのです。
ロシア共産党の副司令官、ラブタは、 新手の水上大尉の率いる日本軍に手こずり、
刑務所方向の南側に退却していったのです。
もしかしますと、香田一等卒の手記の通り、参謀長が戦死したので、退却したのかも
知れません。
【次回に続く。】