第678回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第677話 北部沿海州派遣隊の転進命令の事。 2013年12月30日月曜日の投稿です。
隊の司令部に、東京の陸軍参謀本部から、暗号通信にて、命令の入電があったのでした。
どのような内容かと言えば、 結論を言うと、ニコラエフスク、ラ、アムーレの港街を
放棄して、 サハリンこと、樺太に転進せよとの、命令であったのです。
辞令では、 津野 一輔 陸軍少将は、 サザレン州派遣部隊の参謀長に横滑りし、
多門二郎 陸軍大佐は、 その高級参謀と言う事になっていたようです。
実際の所は、 ニコラエフスクに、多門大佐と、国分中佐が、兵力2千をもって、
そのまま残り、雪が降る前に、現地を撤退することになったようです。
どういうことかと言いますと、 又、冬場の極寒期に、共産ゲリラからの襲撃があるかも
知れず、 守るべき、日本人居留民も、すべて処刑されて、存在せず、この地を、守る意味
合いが無かったのです。
陸軍参謀本部では、情報を総合すると、共産ゲリラは四散し、 司令官の、
トリャビーツィンは、処刑されたと判断し、 また、この地方の気候は、農業に適して
おらず、 産業と言っても、野獣の毛皮、木材程度で、 漁業も、氷に閉ざされる
長い冬場は、操業も出来ず、 まったく、利用価値の少ない土地であると、判断した
ようです。