第685回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第684話、  ロシア白軍の援助の申し入れの事。   2014年1月6日月曜日の投稿です。
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 1
 
 
 
  北樺太の アレクサンドロフスクの港街に、滞在していた、阿南惟畿 【あなみ これちか】
 
閣下に、ロシア白軍守備隊から、接触があったのは、大正9年7月後半であったようです。
 
ニコラエフスクから、逃亡した、グリコエフ、ロシア白軍中佐より、 現地の守備隊はニコラエフスク
 
の守備隊が全員共産党に処刑されたと、顛末を聞いていたらしく、又、オムスク政府から、兵士へ
 
の給金、食糧補給など、まったく途絶えていたようで、現地調達にも限界があり、 いっそうのこと、
 
当時、同盟関係であった日本政府に援助を乞いたいという内容であったようです。
 
 
 
 
イメージ 2
 
 
 
 
 ロシア人を敵にして、兵士を討伐した場合、逃亡されて、広い原野の樺太大陸で、ゲリラ活動
 
をされると、日本陸軍の数千規模の兵力では、樺太の全土を警備するのは難しいと考えていた、
 
阿南閣下は、東京の陸軍省にお伺いを立て、ロシア白軍、 ロシア行政府と、交渉して、 緩やかな
 
自治を行い、日本陸軍が、各地に駐屯することを認めさせ、 ロシア白軍にも、北樺太の海岸線
 
を警備させた方が、得策ではないかと、考えたようです。
 
 
 
イメージ 3
 
 
 
 
           早速、モールスで、陸軍省参謀本部にお伺いを立て、 ロシア白軍を取り込んで、
 
         日本陸軍と現地ロシア人行政府とで、円満に北樺太を運営し、北部の油田地帯を
 
         日本で接収し、駐屯する代わりに、 日本から食料物資や、ロシア人への援助の
 
          話が、1つずつ、打ち合わせを行い、合意に至って、 8月初旬までに、現地で
 
          まとめられたようです。
 
 
 
イメージ 4
 
 
 
        日本陸軍としては、戦闘行為に及んで、泥沼になるより、現地の人々が進んで、
 
       日本陸軍の方針に円満に従い、その下が、ロシア人行政機関でも、 差し支えない
 
 
 
 
イメージ 10
 
 
 
       わけで、外務省を飛ばして、陸軍省と、ロシア白軍、 ロシア人行政府とで、打ち合わ
 
       せがもたれたようです。
 
       この会談で、 樺太最北端の石油油田、炭鉱を、日本軍が支配下に置き、駐屯することが
 
       正式に決まったようです。
 
 
 
       
イメージ 5
 
 
 
 
          ロシア白軍からしたら、 石油より、食料物資の方が、兵士の兵糧確保のため
 
          重要であったようで、 又、捕虜になるわけでもなく、日本人と上手にやっていき、
 
          日本軍を駐留させ、共産党樺太上陸を阻止しようという計算があったようです。
 
          彼らは、ニコラエフスクで処刑された、ロシア白軍の兵士の二の舞は避けようと
 
          していたようです。
 
 
 
 
イメージ 6
 
 
 
               【 当時の東宮 皇太子殿下夫妻  後の昭和天皇と皇后様 】   
 
 
 
          このような交渉を、短期間で、てきぱきとかたづけていき、 仕事をしていく、
 
          阿南閣下は、この後、陸軍少佐、サガレン州参謀、陸軍中佐、陸軍大佐と進級し、
 
          昭和天皇の侍従武官、 近衛連隊長に出世し、 「 陸軍省に 阿南あり。」 と
 
           知られた存在になっていくのでした。
 
 
 
イメージ 7
 
 
 
 
 
          昭和天皇の信頼も厚く、 陸軍少将に栄転し、中国に師団長で出征する前は、
 
          昭和天皇から、特にお声がかかり、2人だけで、夕食を取られたりしたそうで、 
 
          他の陸軍の将校とは違う待遇であったそうです。 
 
 
 
イメージ 9
 
 
 
                        【 当時の内閣総理大臣官邸 】      
 
 
           その時の侍従武官長が、 終戦時の内閣総理大臣 鈴木貫太郎 海軍
 
           大将であったのです。
 
 
 
イメージ 8
 
 
          
                        【昭和20年の鈴木貫太郎内閣 】
         
 
          
           時代の波は、どんどん、大東亜戦争に向かって流れていき、見えない糸が、
 
           どこかでつながっていたようです。
 
 
 
【次回に続く。】