第704回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
建物が当時あったのです。
この建物は、私達が入学する、2年前の大正8年に完成し、 大正9年に、当時、学習院に通われて
入学されたのです。
つまり、私達が入学するより、1年早く、海軍兵学校に入学されていたのです。
私が、明治35年生まれですが、高松宮殿下は、明治38年生まれで、 私より三学年
直しますと、高校2年生と言うことになります。
入学といっても、 予科 という、 まあーー、ならし運転といいますか、予行入学といいますか、
入学されまして、 前年完成した、特別官舎に宿泊され、平日は、特別官舎で、 休日は、呉の
皇室専用の御用邸で、お過ごしになっていたようです。
高松宮殿下は、東京にいる時から、【かっけ】という、病気になっていたらしく、足が腫れて痛んで、
どうしようもなく、随分ひどかったようで、 村地 長孝 侍従医が、江田島に同行されていたようです。
そして、その下に、西村 文雄二等軍医がおそばで、お世話をしていたようです。
高松宮殿下は、 射撃がお好きで、足が痛い時でも、足をひこずって、 楽しそうに小銃を撃っていた
そうで、海軍兵学校附きの医務官 小林 堯太郎【たかたろう】 海軍大尉の世話で、島内に雁に
行くのを、随分と楽しみにしていたようでした。
ていたようです。
言う事で、「 姫、 姫。」 と呼ばれて、大切にされていたようですが、 この雌犬の御姫様が、
野犬に集団で、襲われて、大けがをするという、事件が発生するのでした。
【次回に続く。】