第799回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第798話 海軍兵学校 運用考査の事。 2014年4月30日水曜日の投稿です。
分隊、全員手信号の考査が終わりまして、 対岸で、監事附殿が、「 コウサ オワリ
キトウセヨ。」と、指示が出まして、 私達は、 来た方向に船首を向けまして、風を受けて
また、 元のランチ置き場に、進路を変針しまして、 帰路についたのです。
「 ぴゅーーーーーっ。」と、大きな風が吹きますと、 寒いのですが、帆が
ぐぃっと張りまして、 速力を上げて、スイスイ水面を進んでいきます。
これが、なんとも 気持ちが良いというか、 快感と言いますか、 面白い物です。
到着しますと、 今度は、指導があったように、帆をたたんで、 帆柱をみんなで
外しまして、 ロープを滑車にかけて、 ランチを水平に保ったまま、 「 そーーれっ。」
「 そーーれっ。」と、 かけ声をかけながら、水面からあげるわけですが、おろすのより
大変なわけです。
監事附殿も、3号生徒は、当時300人程度在籍しておりましたので、数人の
人数で採点するというのは、 大変であったと思いますが、 無事終わりまして、
私達は、腰に握り小節を当てて、駆け足で、監事附殿の前に集合し、整列し、
番号を叫んで、点呼を取り、 先任の福元 義則生徒が、「 第13分隊、整列
終わり、 敬礼。」と、号令をかけますと、私達は、 監事附殿と古田中 監事殿に
対して、敬礼をしたのでした。
すると、古田中 監事殿が、「 全員 休め、 注目、 総評を行う、 ランチの
運用については、全員おおむねよろしい、 手旗信号については、相手に読み取り
安いような、 速さで、信号を送るようにせよ。 尚、 本日1400時から、校内漕艇
見学があるので、 それまでは、他の生徒の考査を見学し、 昼の食事をして、
準備をするように、以上終わり。」 と、お話がありまして、 私達は、再度かがとを
つけまして、背筋を伸ばして敬礼した後、 握り小節を腰に当てまして、 駆け足で
待機場所に移動したのでした。
井上生徒が、「 淵田生徒、 校内漕艇見学って、なんだっぺや。」と、聞く物ですから
私は、「 さーー、わいも、よーーわからんがな。」と、返事をしたのでありました。
【次回に続く。】