第829回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第828回 軍縮後の小型艦艇建造競争の事。 2014年5月30日 金曜日の投稿です。
私達を乗せた鉄道は、岡山県に入りまして、大阪に向けて、コトコトと音をたてながら、
進んでいったのです。
楽しい話相手も、福山駅で下車してしまって、小池君のみとなり、 私は荷物の中から
呉の土産物屋で買った、本をとりだして見ることにしたのです。
海軍の智 識、 智恵の常識と書いて、略して智識と読みます。
まあーー、 海軍兵学校の生徒が読むと絵になるような 本ですが、 この本には、
当時、興味深い事が色々出ていまして、ふむふむと読み入ってしまったのです。
こう言う、火薬で砲弾を飛ばす前に、 相手の速力、 移動するであろう場所
を予測して計算して測定し、仰角、方向角を計算して、砲塔指揮官に
命令を出し、 ただ、ただ、砲手は、愚直に装填作業をしていくのです。
この砲術の観測作業、 勉強しますと、終わりがないと言いますか、奥が深い
のです。
「 ほうーーー、これが、サブマリンちゅーもんかいな。」と、見入っていると、
隣の席の小池君が、見たそうにしていたので、 本を彼に渡すことにしました、
小池君は、潜水艦に興味があるらしく、 楽しそうに見ていました。
建造出来なくなっていきます。
いくのですが、小型艦艇や、飛行機に、生産が移っていく、 移行期に入って
いくのです。
アメリカ海軍も同様でして、 飛行機、潜水艦などの生産に力を入れていくよう
になります。
しかし、 大きな戦艦を造っていた造船所は、 小型の方の艦艇の仕事も少なくなり、
多くの解雇労働者をだしていき、 あげくには、 造船城下町では、倒産が続出し、
地域経済が傾いて、治安が悪化していったのです。
そういう時代に、私は、航空機で、 小池君は、 潜水艦にと、 進んでいくこと
になっていったのたのでした。
鉄道の車窓からは、日暮れの景色が広がっていました。
私は、 本を読みふける小池君を見ながら、 葛城に戻ったら、海軍の制服を
みんなが見て、 どういう反応をしめすか、 想像して楽しんでいました。
「おうーーー、そうや、五条の本屋にも、挨拶しないとあかん。」と、頭の中で
作戦計画を練ったのでした。
【次回に続く。】