第848回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第847話   海軍兵学校 新しいハンモックナンバーの事。 2014年6月18日水曜日の投稿です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
    大正11年1月10日火曜日、 私達海軍兵学校生徒に対して、 分隊の組み直しの
 
   準備命令が発令されたのです。
 
 
 
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         分隊組み直し準備命令とは、何かと言いますと、 身の回りの物をすぐ移動して
 
         よその分隊に移動出来るよう、 準備しておくことでして、 12月に学力考査などを
 
         私達は、受けたわけですが、その成績によって、 分隊の編成替え、 つまり、
 
         わかりやすく言いますと、 戦後の大相撲で言えば、 番付編成会議で、取り組み
 
         を決めて、発表があると、 言えば、わかりやすいかと思います。
 
 
 
 
 
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           海軍兵学校というのは、 ハンモックナンバーと言うのがあって、教室に座る位置、
 
           なにか物事を行う場合、すべてハンモックナンバー順に行うわけです。
 
           先月の、人員整理も、 ハンモック番号順に、 下から、約30人 整理された
 
           わけです。
 
 
           相撲の番付のような順番なのですが、先任、後任という、海軍内の制度がありまして、
 
           例えば、 99番 100番、から120番までの生徒がいたとしますと、 99番の
 
           生徒は、100番から120番の生徒20人を、指揮、監督するのです。
 
           99番の指揮官の生徒が、たとえば、 砲弾に当たって、戦死すると、 100番の
 
           生徒がこれに変わって、指揮をとり、そんな感じで、序列が決まっていたのです。
 
           1番、2番の生徒は、 1番、2番とは、呼ばずに、 首席 次席 と、呼んで、
 
           教官、 監事、 監事附 の人達も、一目置き、 まぁ、戦後の現在で言いますと、
 
           生徒会の会長、 副会長と、言うところでしょうか。 
 
           在学途中の番号も大切なのですが、 卒業時のハンモックナンバーは、一生を
 
           左右する大切な番号でして、 この番号で、 艦隊の中のでの出世が、順番に
 
           進んでいくわけです。
 
 
 
 
 
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           つまり、 同じ卒業年次でも、 ハンモックナンバーの番号の上の人が、 上役に
 
            ついていくわけです。
 
 
           極端な話、 番号が上の生徒に、「 貴様は、爆弾を担いで突撃してこい。」
 
           と、命令を受けると、 従わないといけない、 そういう海軍の組織でありました。
 
 
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         当時、 次は、 もう30人 解雇整理されるらしいとか、 フランス語の専攻と、英語の
 
         専攻で、 分隊のクラスが、 変わるとか、 いろんな噂が飛び交っていたのです。
 
         私は、海軍兵学校に、入学して4ヶ月、 やっと周囲の人と、なれてきたのですが、
 
         また、 双六で言えば、 最初の振り出しに戻ったのでした。
 
 
          しかし、 こんなに成績の順番が下がるとは、 当時想像しておらず、 みんなが、
 
         成績が良すぎたというと、 逃避した表現ですが、 次の日、分隊編成表を見て、
 
         ずいぶんと、恥ずかしい思いをしたのでした。
 
 
 
【次回に続く。】