第849話 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第848話 海軍兵学校 新しい分隊の事。    2014年6月19日 木曜日の投稿です。
 
 
 
 
 
 
 
 
     大正11年の1月11日 の水曜日であったと思いますが、 私達に、新しい分隊
 
     分隊編成表が通達され、 各生徒に移動命令が発令されたのでした。
 
 
 
 
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      みなさんは、 大学に通われたことのある人は、よくご存じだと思いますが、掲示
 
      連絡というのが一般的で、 いちいち、先生が、高等学校のように、各生徒に連絡しては
 
      くれないのです。
 
      つまり、大学生になると、毎日、行きと、帰りに、掲示版を確認して帰らないと、
 
      授業時刻が変更になっていたり、休講になっていたり、 知らずに、待ちぼうけとなる
  
 
      訳ですが、 そんな、大学の掲示版のように、当時、 張り紙で、えんえんずらずら
 
      生徒の名前が掲示されたわけです。
 
      千人近い生徒が、どっと見に行くので、 随分混雑するわけですが、 どうせ13分隊
 
      だったので、 その界隈であろうと、 弱い視力で、目を細めて、見ていたのですが、
 
      井上 武男 生徒の名前は、あったのですが、 私の名前が、まったく見えないのです。
 
     「 はてーーーーっ どないしたんや。」と、 1つ1つ、捜して、後の分隊の方に、
 
     見て行くと、 なんと、第17分隊 淵田 美津雄 とあるではないですか、全部で18
 
     分隊でしたので、 末尾の方でした。
 
     「  ありゃーーーーーっ えらいこっちゃ。」と、 無表情になっていると、「 わりゃ、第何
 
     分隊じゃったんなら。」と、 源田と、山口生徒が、 近かずいて聞く物ですから、
 
     「 見ての通りやがな。」と、指指すと、 「 おぃーーーーーぃ、17言うたら、どんじり
 
     分隊じゃのう、 わりゃ、 軍縮整理の順番が、ちかいのーーーうや。」と、二人して
 
     言うので、 周囲の生徒から、 「 ばかじゃのうーーー。」と、言うような目付きで、
 
     冷たい視線を浴び、 またまた、顔がゆでだこの様になってしまい、私は、
 
     「 わしは、 勤めぶりが悪いよってからにーーーーー。」と、 頭をさすったのでした。
 
 
 
 
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          源田  實 生徒【 後の参議院議員 航空幕僚長 】は、全体で18番の
 
 
          ハンモックナンバーで、 17才で飛び入学して入ってきているので、 2才年上
 
          の学年で、18番というと、立派な成績でした。
 
 
          山口 博生徒【 後の大和の通信長 海軍大佐】は、全体の52番の成績で、こちらも
 
          優秀でありました。
 
 
          源田が、「 淵田生徒、 わしゃーー第2分隊じゃたんじゃ、 第1分隊目指して
 
          がんばらにゃーいけんのうや。」と、私の前で言うので、 ずいぶん、私は引け目を
        
          感じてしまい。
 
          しばらくして、 井上 武男生徒が、「 淵田生徒、 何分隊になっただっぺや。」と
 
          聞くので、 私は、「 えらいこっちゃ、 17分隊に、潜行やがな。」と、打ち明けた
 
          のでした。
 
 
 
 
【次回に続く。】