第852回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第851話 海軍兵学校 新しい分隊での洗礼の事。  2014年6月22日日曜日の投稿です。
 
 
 
 
 
 
 
 
              
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     大正11年の新春、 1月10日水曜日、私達、3号生徒は、 小銃かけにかれられた
 
     30年式、歩兵銃殿のように、 分隊の部屋の後に、直立不動で立たされまして、
 
     2号生徒、1号生徒の先輩方に、自己紹介をさせられたのですが、私が身長が
 
     172センチと、 すこし背が高かったことと、 1番左側に、立てっていたので、私が
 
     中俣 勇 分隊伍長殿から、出身県と氏名を申告するよう、命令されたのでした。
 
     このような事は、前の分隊でも、いやという位させられまして、 「 奈良県出身、
 
     淵田美津雄であります。」と、 大声を出しても、「 こらーー。3号、聞こえんぞ。」と、
 
     ヤジのように、声が飛びまして、  回数は覚えていないのですが、 30分程度、
 
     挨拶をさせられたのでした。
 
     まったく、声がかれるのですが、 海軍にとっては、真水は、血のような貴重な物だと、
   
 
     水を飲むことは、禁止になっていて、 大変でありました。
 
     となりの生徒から、 末尾の生徒が終わるまで、 かがとをそろえて、背筋を伸ばして、
 
     不動の姿勢でありますから、 随分大変でした。
 
 
     この分隊の 第52期の生徒は、 読者のみなさんに紹介しますと、
 
     群馬県 出身  西澤 慎六 君
 
     栃木県 出身  宇都木 秀治郎 君
 
     熊本県 出身  永野 順造 君
 
     大分県 出身  糸永 冬生 君
 
     広島県 出身  中村 昇 君
 
     熊本県 出身  平井 又男 君
 
     東京都 出身  渥美 信一 君
 
     兵庫県 出身  向井 一二三 君
 
     兵庫県 出身  伊藤 信雄 君
 
     高知県 出身  宮地 美枝 君
 
     長野県 出身  里見 五郎 君
 
     山形県 出身  佐野 重士 君
 
     東京都 出身  山口 達也 君
 
     大阪府 出身  牛尾 義隆 君
 
     そして、私でした。
 
 
 
 
  
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       いつでしたか、 海上自衛隊の二等海佐の、護衛艦の艦長をしている現役の方が、
 
       「 どうして、おれが、こんなバカな事を、せにゃぁいかんのか。」と、防大の時、
 
       なんどもなんども、思いましたと、回想されて発言されていましたが、 実は、大正
 
       時代の私達の頃から、ずっと続いていまして、 1度挨拶すればよいことを、何回も
 
       何回も、させるわけです。
 
       制裁訓練みたいな物ですが、 挨拶が、やっと終わり、「 やれやれや。」と、
 
       頭の中で、思っていると、 今度は、「  これより、 起立着席の動作訓練を行う。」
 
 
 
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       「 全員、 着席。」  「 全員、 起立。」と、なんども、なんども、させられるのです。
 
       以前紹介しましたが、 「 1、2、3。」で、着席し、「 1、2、3。」で、起立しないといけな
 
        いのです。
 
        少しでも、1人が、動作が遅くなりますと、 またまた、「 海軍精神がたるんどる。」と、
 
        厳しい指導があるのです。
 
 
        私は、 「 新年早々、 最悪や、 えらいこっちゃ。」と、思いつつ、喧嘩して、やめて、
 
        葛城村に帰るわけには行かず、 辛抱するしかなかったのでした。
 
 
 
【次回に続く。】