第881回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第880話  海軍兵学校 潜水艦の講義の事。    2014年7月21日 月曜日の投稿です。
 
 
 
 
 
 
 
     入船海軍大尉殿の水雷の講義は、「 全員 起立、 きょうつけ、礼。」 という、挨拶の後、
 
   「 うむ、 着席せよ。」と、 許可が出て、 始まったのでした。
 
   海軍兵学校では、 成績順に、ハンモックナンバーと言うのがありまして、 前の方は、成績の
 
   優秀な生徒、 後の方は、成績の思わしくない生徒が、順番に座っていったのです。
 
 
 
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       残念ながら、私は、後の方の、さらに後の席でして、 視力の弱い目で、前を
 
       眼を細めて、見て、 耳をそばだてて聞いていたのです。
 
 
 
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      入船海軍大尉殿が、 「 だれか、いつ潜水艦が出来たか、知っておるものはおるか。」
 
      と、質問があり、 1番に手を上げたのが、 同郷の奈良県の1歳年下の、小池 伊逸
 
      生徒【 のちの聯合艦隊 水雷参謀 海軍大佐】でした。
 
      彼は、兵学校卒業後、佐久間艇長の沈勇士の話に心酔し、潜水艦の畑に進んでいきます。
 
      「  よし、 貴様、いうてみぃ。」と、許可が出ますと、 小池君は、「 安永5年
 
      アメリカ人の ブッシュネル と言う人が、 タートル 【 亀 と言う意味】 という
 
      潜水艦を作り、 時限式の爆薬で艦船を撃破したそうであります。」と、回答すると、
 
       「  うむ、  模範解答である。」 と、 入船海軍大尉殿にほめていただいたのです。
 
 
 
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      さすがは、奈良県の1番の秀才と呼ばれていた小池 伊逸君 年下ながら、たいした
 
      もんやと、後の席で、感心していたのです。
 
 
 
 
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      「 安永5年というのは、西暦に直すと、 1776年である、 日本の江戸時代であるが、
 
      1853年に、 黒船が来たのであるからして、引き算をすると、黒船来航の77年も前に、
 
      アメリカでは潜水艦が出来ていたと言う事である。
 
      それだけ、アメリカでは、潜水艦が速く作られ、 開発され、 1番進んだ技術を持っている
 
      と言うことである。
 
      暗記方法としては、 いいな【17】 なむあみだぶつ【76】 ブッシュと寝る【ネル】、 亀
 
       【タートル】 と、暗記すると、覚えやすい。
 
 
       全員、 大きな声で、 復唱する。 「 いいな、なむあみだぶつ ぶっしゅとねるかめ。」
 
       。」 と、入船海軍大尉殿の大声に合わせて、私達は、 大声で、そらんじたのでありました。
 
 
       何回か、 そらんじた後、 「 ここの潜水艦に搭載していた、時限式の爆弾が、水雷
 
       の中の、 爆雷の元祖と言ってよい、 このような潜水艦が考案され、運用していかれる
 
       過程で、 イギリスで、魚雷が、 1866年 慶応3年に、開発されたのである。
 
      
 
 
 
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        そして、魚雷を搭載した、高速ボートが開発され、水雷艇と呼ばれるのであるが
 
 
        水雷艇の元祖の戦果について、 知っておる生徒はおるか。」と、 質問が、
 
        私達生徒に、 問いかけがあったのでした。
 
        みんな、しーーんとしまして、 返事がなかったのでした。
 
 
 
【次回に続く。】