第913回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第912話 海軍兵学校、江田内に追いやられるの事。 2014年 8月22日金曜日の投稿です。
大正11年の4月24日の月曜日であったと思いますが、 当時、 練兵場で、
1週間ほど、 剣道の稽古の演武の訓練をさせられまして、それなりに、訓練を
西側護岸に集合して、点呼の後、 古田中 教官監事殿のお話を聞いたのでありました。
他の分隊の生徒達は、南側練兵場で、 相変わらず剣道の稽古をしているのに、
私達だけ除外されて、 「 はてーーーっ、なんでやねん。」と、思ったのでした。
「 あーーーー、ここ一週間、 剣道の竹刀の動きを見ておると、 貴様らの分隊が、
1番竹刀の動きが揃っておらん、 全体の重りになっているとしか言いようがない、
そこで、 貴様らには、 見栄えが悪くなるので、訓練から外れてもらい、別の事を
申しつける。」 と、言われまして、 そのまま、忙しそうに、スタスタと、練兵場の方に
戻られたのでした。
すこしして、 幹事附の曹長殿が、「 おまえら、性根を入れて訓練に励まんと、
緊張したのでありました。
幹事附の曹長殿から、 大声で指導を受けた後、 どういうわけか、私達45名は、ランチの
準備を命ぜられまして、 水面におろして、 準備を始めていると、 数隻の動力船が、
江田内の湾に入ってきまして、 小銃に、着剣姿のいでたちで、 すぐ、呉の陸戦隊の
水兵とわかる様そうで、 私たちのほうに、 動力船が近づいてきたのでした。
「 はてーー、どないしたんや。」と、見ていますと、 どんどん上陸して、1個中隊
200名前後は、人数がいたでしょうか、 彼等は上陸して、 小銃を右手に持ち、
整列点呼の後、 休めの体形で、 江田島の海岸に 上陸したのでありました。
「 あのさーー淵やん、なにがはじまるんか。」と、 渥美生徒が聞くので、
「 ワシを、非国民のかどで、逮捕しにきたんや。」と、 冗談をいうと、牛尾生徒が
「 ちゃうちゃう、 腸チフスに、淵田生徒が感染し、 感染防止の為、 銃殺刑の
執行にきたんやがな。」と、 言うので、 みんなで大笑いしたのですが、
陸戦隊の面々、 随分緊張した表情で、 私達は、 水面から彼等を見つめたのでした。
【次回に続く。】