第921回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
皇太子殿下一行は、 お昼の食事会が終わると、 兵学校の南側にある練兵場で、観閲行進
ご覧になったのです。
1号生徒の観閲行進は、 イギリスの王宮でも、兵士の行進をいつも見ていたせいか、
見て歩かれ、 興味を持たれたようでした。
当時、築地時代を入れると、開校50年の節目に当たる そういう時期でありました。
イギリスの物まねから始めて、 50年、 我国独特の海軍士官養成学校に
発展していたのです。
校長の千坂 智次郎 海軍中将がご案内し、当時の江田島の物産や、資料を
ご案内し,説明申し上げたのです。
エドワード皇太子殿下一行は、 東郷元帥の展示品コーナーや、 特に興味を
もって、色々説明を求められたのが、 日本海海戦の資料コーナーでして、 「 これは
どのような物か。」とか、「 当時は、どうであったのか。」 質問を連発されたそうです。
難題であったのが、 掛け軸の漢文を、 英訳して、意味を伝えようとしたところ、
なかなか上手に伝わらず、 同行していた、海軍兵学校の教官のリー先生が、
通訳すると、 興味をもって、 掛け軸を眺められていたようです。
特に、旅順港閉塞作戦の資料とか、 ロシア艦隊との砲撃戦の資料とかは、
予定をオーバーして、 ずいぶん長いお話になったようで、 大挙押し寄せた
千坂 智次郎 海軍中将が、 軍談義を披露すると、 楽しそうに聞かれてい
たそうです。