第947回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第946話、 海軍兵学校 7月の大掃除の事。 2014年9月25日 木曜日の投稿です。
大正11年7月に入りますと、随分と暑くなり、 朝、5時30分に起床しまして、南側
練兵場に出まして,海軍体操をするのですが、 戦後、振り返ってみて、 この時期になり
ますと、起床動作もやっと体で覚えたといいますか、 江田島の台風と呼ばれる、寝台を
ひっ繰り替えさることも、少なくなっていったように思います。
随分冷え込む、江田島の潮風の中で、 暗い内から、 裸になって、体操をして、海軍の
軍人らしくなっていったという、 そんな時期であったと思います。
朝の糧食までの間、 訓練に励んでいたのです。
戦後の、海軍兵学校を扱った、映画などは、 絵になるのか知れませんが、 オールで、
ランチを漕いで訓練する様子を、 良く紹介してありますが、 そういう訓練もあったのですが、
帆柱を立てて、 帆走する訓練の方が、実際は多かったのです。
逆風でも、 上手に帆を操作して、 ジグザグに進んでいく訓練とか、随分と指導されました。
そういう訓練が終わりまして、 ランチの片付けと整備をしておりましたら、 ラッパ信号が
鳴り響きまして、「 なんや、 あの音は,練兵場に集合や。」と言うことで、私達は急いで
西側の護岸から、走って、 練兵場に集合したのです。
点呼の後、 分隊全員整列し、 閲兵台の上を見ると、 教頭の、丹生 猛彦 海軍大佐
殿が、 立たれて、 「 全員注目、もうすぐ今年の入学予定者の二次入学試験が、
本校で行われる予定である、 諸氏もよくわかっていると思うが、体力考査など、多岐に
渡って、 考査が行われる予定である。 ついては、 島外からの、受験生が、希望とあこ
がれを懐いて、 本校に来校し、 不掃除の部分があってはならぬ、 本日、午前中は、
学科の授業を通常通り行い、 午後からは 大掃除を行うので、そのつもりで行動せよ。
以上、終わり。」 と、 校内の一斉清掃の作業を申し渡されたのでした。
【次回に続く。】