第949回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第948話 海軍兵学校 受験生を小用港に出迎える事。 2014年9月27日土曜日の投稿です。
大正11年7月2日の日曜日の事、 私達の分隊は、招集を受けまして、整列して
点呼を受けまして、 「 注目。」と言うかけ声で、分隊監事殿に注目したのであります。
「本日は日曜日であるが、 淵田生徒は、 兵力14名をもって、本官に従い、
これより、小用港に転進し、岸壁で待機し、 明日、 入学2次試験を受けに
江田島にやってくる、受験生を小用港で、それぞれの班に分別して、宿舎に案内
する係を命ず。 あーーー、くれぐれも、 迷子になる受験生を出さぬように、
気配りをするべし、 西澤 慎六 生徒、 貴様は、先任の淵田生徒を補佐し、任務
を遂行をすべし、 出発は、 これからとする。 以上終わり。」と、 命令が伝達
されたのです。
私は、「 全員 敬礼。」 と叫びまして、 「 全体、足ふみーーーはじめーーい。」と、
号令をかけ、 「 ぜんたーーい、目標 小用港、 行進はじめーーーい。」と、
号令をかけて、 小用港に行進したのです。
町中を通りまして、 右折して、東の峠を越え、坂を下ると、 港街があるのです。
ちょうど、歩いて30分という所でしょうか。
歩いて行く途中、 分隊監事殿の後を付いていくと、 小用港に到着して、呉からの
連絡船を待ったのです。
私達の時には、 人数が400人程度いましたので、 いろんな民家に分宿したのですが、
今年度の53期の生徒は、聞いてみると、100人程度と少ないようで、私達の仕事は、
それぞれの生徒の姓名を確認し、 それぞれの班に分け、 江田島の生徒倶楽部が、
宿舎に指定されていて、 そこに案内して、翌日も、 その生徒倶楽部に、迎えに行き、
受験生を、 海軍兵学校まで、案内することであったのです。
私達は、分隊監事殿の指示に従い、 名前事に、到着した受験生を、整理し、
何回かに分けて、生徒倶楽部に案内したのです。
みんな、よく知らない初めての江田島に上陸し、 不安そうな顔つきでしたが、
やっと、 上級生になれるという実感がわいた日でもありました。
【次回に続く。】