第981回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第980話 海軍兵学校 食料調達の事。 2014年10月29日 水曜日の投稿です。
大正11年7月29日土曜日の午後、 私達は、少し遅い昼ご飯をいただいたのですが、
なにやら、 焦げて、まずい 麦飯で、 作り方がおかしかったのか、 水が少なすぎたのか、
食べれた物では無い御飯でありました。
「 なんやねん、これは。」と、言いたいのを我慢して、 口の中にかき込んだのです。
聞いてみますと、 海水を飯盒の中に入れて炊いたそうでありまして、
考えて見ると、 火力が高いところは、 焦げてしまい、 そうでない場所は、
半煮えになるわけでして、 飯盒をぶら下げる場所によって、ずいぶんむらの
ある出来上がりであったのです。
ところで、昼の糧食をとって、 ちょうどその頃、満潮になりまして、水面がずいぶん
上がっていたのですが、 1時間ほど休憩があったのですが、暑くて、暑くて、
のどが渇いて仕方がなかったのです。
海軍という所は、 真水の節約と言う事を、やかましい程度、言うところでありまして、
水をがぶがぶ飲むことも許されなかったのです。
しばらくたって、集合、整列がかかり、 海水浴でもするのかと思っていると、
監事殿が、「 これより、夕食の食料調達を行う。」と、号令があり、
私達は、なにをさせられるのかと、 随分心配になったのです。
なにやら、投網のようなそんな網をもって、私達に説明を始めたのでした。
【次回に続く。】