第1090回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第1089話  江田島の空のバイキング飛行艇の事。  2015年2月15日日曜日の投稿です。







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                      【   広島県江田島海軍兵学校  】





     淵田  美津雄生徒を乗せた小舟は、飛行艇に近づき、なれぬ様子で飛行艇に飛び乗ると


   なにやら、手取り足取りで手伝ってもらい、バンドのような物で身体を固定し、 パイロットは、

   プロペラを回しだしたのです。






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           当時の発動機というのは、手回しで、随分危険な作業でありました。


         しばらく見ていると、 作業が難航しているようで、 そうーー10分程度やっていたか、


  「 パスン、パスン、ブブブブブゥーーウウウウウウウウウーーーーーーーーーン。」と、大きな音が


   して、 みんなが、「ほうーーーー。」 と注目したのです。


    戦後の現在、若者が、バイクや、車のエンジンの音を聞いて、 わくわくするように、当時の


    自分達は、 だだ、だだ、 無言で大きな音に見とれていたのです。



     

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     しばらくすると、 バゥーーーンーーーブゥーーーーーーーーーン。」と、黒い煙を吐いて、

     大きい音をたてながら江田内の水面を西に向かって、進み始め、 飛行艇は、水面を離れ、

     津久茂水道の方に離水していったのです。


      すると、しばらくすると、 方向を変えて、兵学校の方に、「  ブゥーーーーーーーううううーん。」




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      と、 爆音を響かせて、低空で進入していき、 急上昇して、左に転舵して、 皇国山の上空を

      【  皇国山 みくにやま  戦後の古鷹山の事、 大正時代は、みくにやま と呼んでいた。】

      過ぎて、 また津久茂水道の方から進入し、 低空で兵学校の方を目指して、 爆音を轟かせて

      飛んできたのです。




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       古田中 監事殿が、「 全員、帽子フレーーー。」と、 号令すると、 みんな、作業帽を

       とって、右手に持ち、 帽子を振ったのです。

       ちらっと、飛行艇が通過するときに、 淵田生徒の方を見ると、 ちゃんと、敬礼していたの

       でした。




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       飛行艇は、 6回程度 海軍兵学校の周辺を旋回し、 爆音を轟かせ、低空飛行して、

       監事、 教官、 生徒に、 その勇姿を見せつけたのですが、 兵学校の外の海岸沿いに

       は、江田島の人達が、珍しい物を見ようと、 大勢集まっていたのです。



      【次回に続く。】