第8回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第7話 奈良県の山奥のため池で水泳の練習をする。
2012年2月9日木曜日投稿。
畝傍中学をいつもより1時間ほど遅く出発して、駆け足で、五条の本屋に
向かっていたら、店の中に、友人の堀内がいて、敏恵さんと仲良く話ししていた。
私は、心の中で、ライバル心を燃やしまして、「このやろう、人の女に手を出しや
がって。」と、心の中で思っいたのですが、なに食わぬ顔で、本を見ていたら、堀内
のやつ、「おいー、たこ、ここでなにしとるんやー。」と敏恵さんと声をかけてきたの
です。
敏恵さん、「堀内さんね、海軍将校になるらしくて、うち、白い海軍将校の制服
格好が良いから、だいすきやわー。」と、話すのです。
堀内は、「たこのやつ、陸軍将校になるらしいんや、ワシに、大将になるんや、
いうて、いつも陸軍の乃木将軍の話ばかりしとるんや、敏恵さんは、海軍のほうが
すきやろー。」と堀内が皮肉を言うように、言うものですから、私は、頭に来て、
「わいは、海軍兵学校に入る勉強をしとるんや、おまえみたいな、水兵ずれの、
当番兵の下働き希望とはちがうんや。」といってやると、堀内のやつ、「あーっ、
たこが、ゆでだこになってもうた、泳ぎも出来けへんくせに、強がり言いおってから
に、」と言うものですから、「およぎがなんやねん、いくらでも泳いでやるでい。」と
言い放ったのでした。
しかし、家に帰る途中、考えたのですが、奈良県は、海がなく、泳いだことがなかった
ので、軽はずみなことを言わなければ良かったと後悔したのですが、翌日、この話
を堀内のやつ、教室でみんなに言うものだから、引っ込みがつかなくなったのでした。
五条の本屋に行くと、敏恵さんが、「淵田くん、泳ぎが上手なんですねー。」と、言う
物だから、困ってしまいまして、自宅の少し行ったところに、農業用のため池の汚い
緑色した、四角い枡のような、池があるのですが、ここで毎日、時間を作って、泳ぎ
に独学で挑戦するようになった、いきさつです。
緑色をした、汚い池で、鯉とカメがいるような、池であったのですが、ここで平泳ぎの
練習をしたのが初めてでした。
【次回に続く】