第12回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語。】
第11話、赤い水泳帽をかぷらされる事。2012年2月14日 火曜日投稿です。
私達は、浜辺で、体操体形に広がって、海軍体操をぎこちなく、初めて見よう
見まねで、体操をしたのですが、ふと、2名の将校を見ると、さすが海軍将校、
キビ、キビとした、動きで無駄のない体操であったのです。
【当時の二見浦の海水浴風景】
体操が終わると、山本師範が、「えー、本日は、あそこに小舟が止めてあるところ
まで、各自、自由に体を慣らすために泳いでください、遅くても良いので、おぼれな
いように。」と言われ、みんな海に入ったのでした、往復100メートル程度かな、そん
なところでありました、泳いで、浜に上がったら、休憩時間であったのですが、休憩
が終わって、みんな整列して、山本師範のお話をみんなで聞いたのです。
「この赤い水泳帽は、水難事故防止のため、泳ぎの下手な生徒にかぶってもらい
ます。
よく目立つので、監視が容易であります。これから名前を呼ぶので、前に取りに出
るように。」 と、こんな話しがあったのです。
先ほど我々に泳がして、眺めて、かぶらせる人を決めていたらしい。
「あー、こうた、こうた、聞こえないのか、こうた、おまえだ。」と、自分を手招きする
のです。
ふんどしの名前の【多幸】を反対に読んでいるらしい。
「おまえは、水泳の基本が出来ていない、どこから来たのか。」と聞くので、「奈良の
葛城からまいりました。」と答えると、「道理で、海で泳ぐのは初めてか。」と聞かれた
ので、「はい。」と答えたのです。
すると 後から堀内が、「たこが、赤い帽子、女、女。」と言う物だから、またまた、赤い
顔になってしまって、みんなに笑われてしまったのでありました。
【次回に続く。】