第14回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第13話 五省の言わんとするところの事。         2012年2月15日水曜日 投稿です。
 
 
 
 
 
 
 
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二人の海軍士官は、二人で、目をとじて、そらんじた後、自分の方を見て、「おい、貴様、今の
 
語っていた意味が、貴様には、よくわかったか。」と、自分に尋ねるものですから、こちらから
 
復唱して、意味を返答したのです。
 
五省は、五箇条の一日の反省という意味で、1つは、真心に反する点は無かったか、
 
2つは、言行不一致の点は無かったか、3つは、精神力は十分であったか、4つは、十分に努力したか、
 
5つは、最後まで十分に取り組んだか、と言うような意味であると考えます。」と、返事をすると、
 
二人とも、ほうーと言うような顔をして、「一度聞いただけで、そらんじるとは、なかなかどうして、
 
貴様、見所があるぞ、赤い水泳帽。はははははははー。」と笑いながら、話しかけてきたのです。
 
 
 
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私は、「実は、自分は、大日本帝国海軍兵学校を志しているのでありますが、どのような学校
 
なのか、よくわからないのであります。よかったら、すこし教えていただけると良いと思い、この
 
部屋をおたずねしたら、お経のような声がしたので、廊下でどうしたものかと、考えていたので
 
あります。決して、スパイをしていたのではありません。」と言うと。
 
「おい、猪、お経だそうだー、ははははははは、。」と二人とも笑いこけてしまった。
 
阿部中尉が、「貴様、どこから来たのか。」と、聞かれたので、「奈良県立畝傍中学から参りました。」
 
と、返事をすると、「今日のような泳ぎでは、書類選考で、予選落ち間違いないぞ。」と言われ、続けて、
 
「実は、海軍省の仕事で、水泳の講習に来ているのであるが、講習内容を文章に整理して、提出し
 
なければならん。
 
これから、その仕事があるので、貴様に関わり合っている時間がない、また、軍内部の事を、
 
部外者に話すことは、堅く禁止されておる、そういうわけで、希望には沿えん。」と、断られてしまった
 
のでした。
 
 
 
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そういえば、学校の講堂の海軍士官の話しも、肝心な、海軍の内部の話しは、聞けなかった、
 
口外禁止の命令が出ているのだと、初めて知ったのでありました。
 
 
 
【次回に続く。】