第15回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第14話  早朝の海軍士官の姿。                          2012年2月16日投稿です。
 
 
 
 
 
 
 
 
翌日の早朝、同室のみんなは、まだ夢の中、朝の4時半ごろか、厠に行こうと、そっと障子
 
を開け、廊下に出てみると、2名の海軍士官は、上半身裸になって、乾布摩擦をしていた、
 
「おはようございます、お早いのですねー。」と声をかけると、阿部中尉が、「おー、きさまかー、
 
海軍兵学校では、朝の5時30分に起きて、急いで身の回りを整理して、練兵場に出て、
 
冬の雪だろうが、夏だろうが、裸になって、朝、体操をするのだ、兵学校を卒業して
 
 
 
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も、変わらず、みんな毎日行う、早起きは、何とやらと言ってな。」と返事があったので、「そうなの
 
でありますか、自分も今後、そのようにしたいと思います。」と言って、一緒に体操をしていると、
 
阿部中尉が、「きさまー、海軍兵学校を受験して、30人中、合格出来るのは一人だけだ、ま、
 
そこの猪口中尉のように、兄弟で合格する変わった事案もあるが、例外だ。」
 
「へー、ご兄弟で、兵学校を合格されたのでありますか。」と、聞き返すと、「まず、書類選考が
 
 
 
 
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あってな、大半が、ここで、不合格となる、普段の学校の内申書、これがまず重要だ、それから、
 
学校の先生の個人的評価だ、ここで変なことを書かれると、だめだ、それから、体力検査があって
 
な、健康な体、頑強な肉体、でないと不合格になる、それから、視力が悪いと、不合格だ、
 
 
 
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勉強をやりすぎて、目を悪くすると、だめだ。」  そんな会話をして、士官達の部屋を廊下から
 
見ると、布団は尺で、測ったようにたとんで、カチッと置いてあり、所持品の整理もきれいに
 
してあったのです。
 
このふとんが、海軍兵学校がどんなところであるか、自分に語りかけてきたのであったのです。
 
 
 
【次回に続く】