第16回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語。】

第15話 古式泳法 観海流【かんかいりゅう】の指導を受ける。       2012年2月17日金曜日投稿。
 
 
 
 
 
 
 
その日の朝食は、質素な物で、おかゆとたくあんと味噌汁だけであったのです。
 
年頃だし、おなかが減ってしかたがないが、贅沢は言えない、なにしろお寺であるからして、肉や、魚はなく、精
 
進料理であったのです。
 
その日は、海岸の砂浜にでで、全員整列し、点呼の後、海軍体操を行った後、山本師範が、観海流の泳ぎ方
 
を、指導してくれたのでした。
 
「おい、こうた、こうた、おまえ、おまえ、赤い水泳帽。」と呼ぶので、山本師範の方を向くと、「奈良県
 
カエルはいるのか。」と尋ねるので、「田んぼや池に、生息しております。」と答えると、「ここで、カエル
 
の泳ぎ方をやってみろ。」と言われるので、適当に、スイスイとやると、「それは、だめだ、犬かきだ。」と言う
 
ものだから、みんなに又、笑われてしまったのです。
 
 
 
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照れくさい顔で、赤くなっていると、山本師範は、「よく見ておけ、観海流の泳ぎ方は、速く泳ぐことにあらず、
 
体力の消耗を少なくして、静かに波を立てずに、出来るだけ長く泳ぐことにある。このカエルの泳ぎ方が
 
基本で、波を立てずに、出来るだけ静かに泳ぐのが、この泳法の特徴である。」といいつつ、自分の目
 
の前で、実演して見せてくれた。
 
 
 
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それは、理にかなっている、大海原で、船が沈没して、速く泳ぐ必要はない、少しでも長く浮いていて、
 
味方の船が救助にくるのを待たなくてはならない。海軍士官が、偵察にくるわけでありました。
 
 
 
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山本師範が、「2列になって、練習を始める。いいか、これから、ワシが声をかけるので、おのおのそれ
 
に続いて、かけ声をかけながら、泳ぐように。」と話しがあり、山本師範が、「よーゆーこーれー、よーゆー
 
こーれー。」とかけ声をかけながら、泳ぎだした、平泳ぎに似た、泳法である。つづいて、番号順に全員
 
が続く、自分は一番最後で、水に入り、みんなのかけ声にあわせて、「よーゆーこーれー。よーゆーこー
 
れー。」と声を出しながら、このリズムに合わせて、腕や、足を動かして、みんなの泳ぎに、必死について
 
行くのでありました。
 
 
 
 
    【次回に続く。】