第44回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第43話 父やぞうの忠告。
 
夕食をとりながら、母の医大の進学の話しは、父の話で、それ以上、母からなかったのであるが、父が、「美津
 
雄、海軍に入るのはよいが、潜水艦乗りと、飛行機乗りだけには、なるなよ、軍医の道も良いかもしれんぞ、
 
とにかく、新聞を見ているから、知っておると思うが、潜水艦が、水没して、そのままで、全員戦死したとか、飛行
 
機が墜落したとか、そんな話しが、最近多い、父や、母より、先にあの世にいったら、これほど親不孝はない。」と
 
言う物だから、確かに、その当時、そういう、新聞記事が多かったのも事実だ。
 
当時の私は、海軍兵学校に入るのが、第1で、戦艦に乗り込もうとか、巡洋艦に乗り込もうとか、そんなところま
 
で、考えていなかったのであった。
 
大正8年12月の、その年の暮れは、あっという間にすぎていったのであった。
 
【次回に続く。】