第75回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第74話、物理、化学の試験を受験する。                 2012年4月22日 日曜日投稿。
 
しばらくすると、掲示板に、午前中の合否が発表された。
 
受験番号86番を捜したら、あった、あった、よかったと、思わず喜んでしまった。
 
ずいぶんと、朱墨がひいてあり、落伍者が多かった。
 
すぐさま、連隊講堂前の受付に行って、次の試験の受付を済ませて、講堂内に入り、指定されていたイスに
 
着席した。
 
この段階で、自分を入れて5名の生徒だけになっていた。
 
受験を希望した者は、多かったに違いない、書類選考で、受験できなかった者、体力測定で会場に来ていた
 
者、数百人の中から、残っているのは、たった5名である。
 
海軍士官が、試験会場に入ってきて、黒板になにやら書き始めた。
 
1330時から、2時間、1530時まで、物理、化学試験と書いて、「全員、起立、傾注、午後からの試験の説明
 
を行う、いいか、黒板に書いたとおりである。
 
残っているのは、5名であるので、採点して、すぐ、結果を掲示する。
 
合格者のみ明日0800時にここに集合するように。」と言って、答案を配りだした。「しばらくして、早くできた者
 
は、早く提出して、外に出てよろしい。」
 
「それでは、始め。」と大きな声で、号令をかけた。
 
この海軍士官、入り口で不動の姿勢で、猛犬のような目付きで、我々をずっと見つめていた。
 
試験の答案は、また、5問であった。
 
だいたい、問題集などで、答案の練習をしていたので、その範囲の問題で、4問目の化学式の問題などは、
 
元素記号を暗記していないと、回答できないような問題であったが、なんとか、回答が出来た。
 
ふと、時計を見ると、あっという間に、1時間半経過して、1500時になっていた。
 
前の席の体格の良い生徒は、席を立って、答案用紙を海軍士官に提出して、講堂の外に出たようであった。
 
自分も、もう一度確認して、席を立ち、海軍士官に答案を提出した。
 
1600時頃であったか、掲示板に合否が、貼り出され、86の番号がちゃんとあり、5名全員合格であった。
 
右の方に、別の紙がはってあり、なになにと見ると、8月9日の予定、0900時から1100時まで、日本史、
 
1330時から1530時まで英語とある。
 
入学試験も3日が経過し、たった5名で、試験4日目に入るのであった。
 
【次回に続く。】