第104回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第103話 稲刈りの午後。 2012年5月21日月曜日投稿です。
午後から、収穫の作業が再開された。
みんな、男の人は、なれているのか、腰を曲げたまま、鎌を持って、無心に作業している。
作業していると、田んぼのにおいというか、わらのにおいというか、何というか、においが鼻につく。
稲の、においというのは、独特なにおいで、風にのって、稲ワラのにおいがしてくるのである。
こちらの方は、穂のコメが落ちないように、気を配りながら、稲を束ねて、縛っていく、午後からは、直接、束を
2つに開いて、昼前に組んで作られた、干しざおに、直接かけていくのである。
結構、重労働で、農業は大変である、良く、腰が痛くならないものだと、感心していると、おばさんが、「夏の暑い
時節の、田んぼの草取りに比べたら、ヘビもおらんし、あつうーないし、楽なものよねー。」と、話しをすると、
「百姓には、収穫の時は、品物がどうあれ、楽しい物よねー。」と、ニコニコしながら、山口のおじさんが、
手を休めることなく、言いながら、どんどん刈り取ってていく、こちらも、どんどん束ねていかないと、稲が、
たまってしまう。
山口の奥さんが、「あんた、うちらー、お茶とってくるけえ、稲干しが、いっばいになったけえー、新しいの
組んどいてや。」と言って、母屋の方に歩いて行った。
みんな、刈り取りを中断して、納屋の方に、歩いていって、木の支柱やら、竹の竿を出して、かたいで、田の
方に、運んでいく、「ついでに、明日の支柱なんかも、田に持っていこうや。」と言って、何回も、肩に担いで、
田と納屋を往復した。
納屋の中は、いろんな見慣れない道具があって、興味がわいたのであるが、仕事を続けたのであった。
刈り取って、束ねていない、稲ワラが、たくさん田に並べてあったのであった。
【次回に続く。】