第166回 昭和の伝道師【戦中戦後のパイロットの物語】

第165話  恐怖のほふく前進訓練。                   2012年7月24日 火曜日の投稿です。
 
 青木中尉のピィーーと、吹く笛に合わせて、伏せたり、走ったりを何十回と繰り返しているうちに、先生方が、
 
ついてこれなくなったのであった。
 
 青木中尉は、「ふん、ーーー、だらしないやつ。」と言うような顔つきで、「全員集合ー、駆け足。」と命令を出した。
 
  「急げーーー。」「右端から、番号。」と命令すると、みんなハァハァいいながら、1、2、3、ーーーーー。
 
と、番号を言っていく。
 
 しばらくして、「やめーーーー。」と制止すると、「良いか諸君、傾注、ーーーーー。」
 
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  「前線では、敵の陣地から、機関銃弾、砲弾が飛んでくる。歩いていたら、必ず死ぬぞ、走って、動いて、狙わ
 
れないようにしろ、まずいとサッしたら、直ぐ伏せて、砲弾、敵弾をかわせ、いいな。」と叫んでいたが、みんなしん
 
どいのか、まともに聞いていないようであった。
 
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                               【当時の訓練風景】
 
 「それでは全員、 右の鉄棒の所に移動する、駆け足用意、 右向け右ーー。」と命令すると、みんなよたよたと
 
小走りに移動した。
 
「良いか、これよりほふく訓練を行う、目標はあそこの校舎だ、前列前へーーー、伏せの姿勢、前進。」と命令
 
すると、前列は伏せたまま、芋虫のように、伏せたまま、ほふく前進を行うのであった。
 
 青木中尉は、「服部少尉以下は、散開して、悪いのを足でつついて注意せよ。」と命令を出したのであった。
 
服部少尉や、兵士は、校庭で、形が悪いほふく前進者を、足の先でつついて、「なんだ、その恰好は。」と、注意し
 
て指導していたのであった。
 
 鉄棒の所の列で、このいきさつを見ていた自分は、大変な事になったと心配したのであった。
 
【次回に続く】