第257回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第256話  物理と化学の試験の事             2012年10月24日 水曜日の投稿です。
 
 
 
  試験会場に入ると、既に机のうえに、受験番号が貼られていて、自分の席に着くと、広島第1中学の
 
受験番号は、80番台とみえて、前から順に、1中の生徒が、座っていた。
 
1中の生徒も、ずいぶんと姿を消していたが、知り合いの、井上、重森、石村、小松崎、橘高、などの、面々は、
 
みんな、残っていて、知っている人間で集まるのは、心強い、戦友というべきか。
 
 
  化学とか、物理とかは、過去の出題を10年分、ほぼ完璧に、復讐をしていたので、同じ問題は、出ないに
 
 しても、数学的な、数値が変わるだけであろうと、考えてはいたのであるが、どうであろうか。
 
 
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しばらくすると、受験生が全員揃ったようで、会場は、一クラス程度の人数で、みんな、席に腰掛けて、
 
試験官の来るのを待っていたのであった。
 
 
ここの、この部屋にいる連中は、広島県でも、優秀な頭脳の持ち主で、東京帝大、京都帝大でも、充分
 
合格できる学力を持っているであろう、そうそうたるメンバーのはずである。
 
 
すると、数人の兵士が、入ってきた。
 
 
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  一人の陸軍将校が、教卓の所に来ると、「全員 起立、きょうつけーーー。」と、号令をかけたのであった。
 
「これより、皇居に向かって、拝礼する。」と言って、東の方向に、向くよう促すと、全員、そちらに向かって、
 
深々と頭を下げたのであった。
 
 「そして、つき゜は、故郷に向かって拝礼する。」と、言うので、自分は、北側に向かって、深々と頭を下げた。
 
「 よいか、諸君、我々陸軍士官学校では、朝に、皇居、そして、故郷に向かって、拝礼するのをしきたりと
 
しておる。諸君らは、海軍兵学校を受験するのであるが、かくこくも、天皇陛下、 そして、故郷の父母を
 
大切にすることを、くれぐれも忘れないように。」と、大きな声で、みんなに話したのであった。
 
 
【次回に続く。】