第268回 昭和の伝道師【戦中戦後のパイロットの物語】

第267話 大正10年5月8日 奈良の朝の事        2012年11月04日 日曜日の投稿です。
 
 
 
 一方の主人公の淵田美津雄は、早朝、4時頃、奈良の大和屋の部屋で、目をさましたのであった。
 
他の人に、迷惑がかからないように、そっと、起床して、中庭の井戸端で、顔を洗って、空を見上げた、
 
薄暗いが、今日も天気が良さそうである。
 
新聞配達をしていたおかげで、早朝、目がさめるクセがついてしまい、よいことか、悪い事かは別にして、
 
昔から、早起きは三文の得という、言葉があるように、静かに、部屋に戻って、化学の本を開いて、
 
最後の勉強したのであった。
 
  父親が、国語の先生で、年少の頃から、漢文、特に、中国古典をたたき込まれていて、中学の学校の先生
 
より、中国古典に詳しい美津雄であったが、そのため、国語、漢文は自信があったのであったが、
 
化学、物理の試験は、心配な科目であった。
 
イメージ 1
 
葛城の、年少時には、化学などと言う物は、知らなかったし、勉強もしなかった。
 
畝傍中学に進学して、化学の授業があったのであるが、実験機材も、ほとんどなく、当時は、簡単な、設備で、
 
あまり詳しくないというのが、実状であった。
 
昨年8月の入試の時は、なんとか合格できたのであるが、今回は違う問題であることは、間違いのない
 
ところで、どのような問題が出るのか、不安であった。
 
 
イメージ 2
 
 
このような事になるのであらば、もう少し、五条の町の敏恵さんの本屋に頼んで、化学雑誌を、読んどけば
 
よかったと思ったのであった。
 
   1番出やすい、化学記号をもう一度、朝食の時間まで復習して過ごしたのであった。
 
まっ、最後の試験前のあがきであったと思う。
 
【次回に続く。】