第345回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第344話 海軍兵学校 口頭面接入学試験の事。 2013年1月21日月曜日の投稿です。
海軍大尉に、入り口の張り紙の誤字を尋ねられて、私は、「2カ所、誤字があったと思うのであります。」
と、解答したのであった。
すると、「どうして、間違いに気がついたのか。」と、質問され、「 自分の父親は、尋常小学校で、
国語の教師上がりで、現在校長をつとめているのでありますが、小さい頃から、漢字、漢文、などを
教え込まれておりまして、ふと、一目見て、誤字に気がついたのであります。」と、返事をしたのであった。
すると、海軍大尉は、机の引き出しから、1枚の大きな地図を取り出して、机の上に広げたのであった。
「この地図の中に、スエズ運河の位置を、指でさしてみよ。」と、問いかけられたのであった。
私は、椅子から起立して、一歩前に出て、地図をのぞき込んだのであった。
「この地図には、スエズ運河などは、記載されておりません。」と、返事をすると、海軍大尉は、「よし、
それでは、この地図の下の机の上の品物が何であったか、解答せよ。」」と、質問されたので、
「さきほど拝見いたしましたが、 机の上には、硯箱、灰皿、書類箱がおいてあるのであります。」と、
解答すると、続けて、海軍大尉は、「では、灰皿の中のたばこの吸い殻の数は、何本であったか、
解答せよ。」と、質問されたので、 「2本あったと思うのであります。」と、返事をしたのであった。
海軍大尉は、「よろしい、 なかなかの注意力だ。」と、地図を机の引き出しに、たたんでしまい、
私の関係書類を取り出して、中の記入事項に目を通し始めたのであった。
「ほうーーー、貴様は、視力が2,0もあるのか、よく見える目だなーー、駆逐艦の艦橋の見張り員に、
向いているぞ。」と、言われ、 心臓が、どきりとしたのであった。
まさか、視力が、0,8程度で、 視力表を暗記しています。などとは、いえなかったのであった。
【次回に続く。】