第453回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第452話 大池書店で道中読む本を買い求める事。 2013年5月19日 日曜日の投稿です。
大池書店で、挨拶すると、敏恵さんから、「 よかったやん。」と、喜んでもらい、お母さんが、「お茶でも
飲んで生きなさい。」と、強く薦められたので、 店の中で、一服させていただいたのであった。
朝というのは、気持ちの良いもので、お茶をいただいていると、「 ちゅん、ちゅん 。」と、鳥の鳴く声がして
なんとも、良い気分であった。
「 敏恵さん、じつはやな、 道中、鉄道に乗っている時間が長いので、 1歳年下の小池君
というのと、一緒に、鉄道にのるんやが、道中、じゃまにならず、持ち歩きに支障の無い程度の、
本は、なんぞ、ないやろか。」と、尋ねると、敏恵さんは、「 そーーーやねーーー。」と、色々考えていたの
であるが、「これと、これは、どうかしら。」と、薦められるがままに、その本を買い求め、丁重に挨拶して、
大池書店を 出発したのであった。
敏恵さんから、「 こんどは、いつ帰ってこられるの。」と、聞かれたので、 「そうやなーー、たぶん年末の
頃と、思うんやが、」と、別れの挨拶をしたのが、記憶に残っている。
私は、そのまま、奈良駅に着いた頃は、すっかり、正午を回り、 暑い暑い、昼過ぎになっていた。
奈良駅を探したら、約束した場所に、小池君の姿がないので、 近くで駅弁を買って、 長いすに腰掛けて、
むしゃむしゃ、食べて、水筒から、水を汲んで、一杯飲んでいると、小池君が、「 淵田さん、おそーーなりま
した。」と、言って、やっと到着したのであった。
「 小池君、昼は食べたんかいな。」と私が聞くと、「 まだですがな、」と言うので、 「すこし、ゆっくり
駅弁でも食べたらどうや。」と、言うと、「 淵田さん、早うせんと、鉄道に乗りおくれます。」と、言うので、
駅弁売りの、売りのこりの最後の駅弁を買いこんで、私たちは、鉄道に遅れてはならじと、飛び乗ったので
あった。
【次回に続く。】