第464回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第463話 海軍兵学校、バスでの作法の事。 2012年5月30日 木曜日の投稿です。
私たちは、全裸のままで、整列すると、角田1号生徒の修正指導を受けたのであった。
「 貴様、手ぬぐいで、金たまを隠すとは、何事か、ここでは、そんな事は許されん。」と、指導されると、
私は、「 はい、申し訳ありませんであります。以後、気をつけます。」と、大声で返事をしたのであった。
「 分隊3号生徒、全員よく覚えておけ、 右の風呂と、左の風呂があるが、右は通常、
1号生徒専用である。 貴様らは、入れない湯船である。 また、湯船の中に、手ぬぐいの
たぐいを持ち込むことは、禁止されておる。
本日は、例外的に、左右の風呂場を使用してよいと、許可が下りておるので、早く、風呂に
入るように。」と、指示があり、私たちは、手ぬぐいをおいて、桶で、体を流して、湯船の
中に入ったのであった。
私の身長が、1メートル72センチあるのであるが、クビまで湯がくる、随分と深い風呂で。
なんでも、座ってはいると、場所を取るので、たったまま、たくさんは入れるように、首まで
つかる深さにしてあるらしい。
私が、「ここが、1号生徒の専用風呂場か、ええもんや。」と、湯に入っていると、
みんなで、外に出て、体を摺る事になり、 ゴシゴシと背中を流したのであった。
ここで、私たちは、生まれて初めてシャワーという物を使用して、体を洗ったので
あった。
当時のシャワーというのは、ちゃんと温水が出て、立派な物で、私たちは、感心しなが
ら、体を洗うと、 又、湯船の中に入ったのであった。
井上君が、 「あーー、朝から、湯船とは、極楽だっぺ。」と、
気持ちよさそうにしていると。
私も、海軍兵学校のプールのような、大きな風呂場に首まで入って、
随分と、くつろいでいると、 角田1号生徒がやってきて、
「 全員、入浴終わり、 風呂から上がれーー。」 と、号令をかけたのであった。
【次回に続く。】