第490回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第489話  海軍短剣についての事。          2013年6月25日 火曜日投稿です。
 
 
 
 
 
 
      私たちは、大講堂で、海軍士官の象徴の短剣を授与されたのであった。
 
    生徒が、270名程度いるため、随分と時間がかかり、私は、呉から来た、軍楽隊の兵士は、
 
    ずうーーっと、演奏をしているので、大変やなと、心配して見ていたのであった。
 
    私たちは、授与式が終わり、自分たちの分隊の部屋に戻ったのであった。
 
    
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             【昭和16年頃の海軍兵学校 短剣掛けの様子の古写真  】
 
 
             短剣は、分隊の部屋に、小銃掛けと一緒に、短剣掛けという所があって、
 
             黒い革製の、剣帯と一茶書に、そこにかけておくのである。
 
 
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             海軍兵学校では、短剣は、武器としてではなく、天皇陛下からお預かりした、
 
            装身具という扱いで、 扱いも、随分と厳しい物があった。
 
            たとえば、 短剣を抜いて、物を切ってみるなどと言うことは、御法度で、
 
            又、キズなどの検査も厳しかったのである。
 
             
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           こいくちの、ボタンを押すと、 刀身が抜けるようになっているのであるが、
 
            ややこしいことに、人間の話をするときに飛ぶ、つば などが、刀身に附いたまま
 
           1日程度放置すると、 黒い斑点になってしまい、取れなくなるのである。
 
           そのような事になって、隊用検査で見つかると、ずいぶんと、ややこしいことになるの
 
           であった。
 
           先輩の、2号生徒に教わったのであるが、左手に鞘を持って 刃を必ず上にして、
 
           ボタンを押して、刀身を抜くようにしないと、これまた、刃を横にして、抜いたり、
 
           入れたりしていると、表面に擦り傷がつくのである。
 
           この傷も、1度はいると、ふいても取れないので、検査で見つかると、大変である。
 
 
           後日紹介することになるのであるが、小銃の手入れと、短剣の手入れについては、
 
           そのつど、厳しい検査があり、 随分と私たちを苦しめたのであった。
 
 
 
 
【次回に続く。】