第511回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第510話 海軍兵学校、精神教育の事。          2013年7月16日  火曜日の投稿です。
 
 
 
 
 
 
 
     海軍大尉は、黒板に、チョークで、 「 攻撃精神   犠牲的精神」 と、書くと、
 
私達を見渡し、指を指して、 色々と質問を始めたのであった。
 
 
 
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  「  おい、 貴様、貴様だ。」  と、ある生徒を指名して、起立をさせると、「 貴様の命は、
 
だれのものだ。」 と、問い始めたのであった。
 
  その生徒は、「 自分の命は、自分の物であります。」と、返事をすると、 「落第。」と、大声で叫び、
 
 次のとなりの生徒に、同じように、「貴様の命は、だれのものか。」と、問いただすと、その生徒は、
 
 「 自分の命は、大日本帝国の物であります。」と、解答をすると、海軍大尉は、「 合格。」と、大声で
 
 叫んだのであった。
 
 
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  「 よいか、この、日の本の國に生まれ、育ち、 貴様達の命は、大日本帝国の物である。
 
 我々、大日本帝国 海軍軍人は、大日本帝国の為に、御国の為に、いつでも、命を投げ出す、覚悟が
 
必要である。わかったか。」と、大声で問われ、私達は「 はい。」と大きく声を出して、答えたのであった。
 
 
  戦後、 草加中将と源田と三人で考えたのであるが、このような海軍の精神的偏った教育が、繰り返し、
 
繰り返し、行われる事によって、 日本軍全体に、人命軽視の作戦などが繰り返され、特に航空パイロット
 
の消耗が、激しく、 補充がまにあわず、戦争に負けていった大きな原因のひとつであった。
 
 
【次回に続く。】