第517回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第516話、 すりあしの稽古の事。 2013年7月22日 月曜日の投稿です。
私達は、剣道の経験者が、かかり稽古 【試合形式での稽古】をしているのを横目に、
すりあしの稽古をしていたのであるが、 その稽古の様子をふと見ていると、すごい
稽古で、 経験者の方に、手を上げなくて、よかったと思う様な、激しい稽古ぶりであった。
私の技量では、とても、相手に出来ない程度の、有段者が、生徒の中に、多数いたので
あった。
私達は、「 前、前、後、後、右、右、左、左を繰り返し、練習するのである。
人間、どうしても、足の親指に、体重がかかるので、 左足のかがとが、右に入ってしまい
左足が、進行方向に対して、ハの字にひらいてしまうのである。
左足が、ハの字にひらくと、ブレーキのようになってしまい、打ち込みが出来ないの
である。
寺本教官と、 監事附きの下士官が、竹刀で、 かがとのひらいている生徒を、つつ
いて、指導して歩くのである。
左足は、左足の小指に体重を置くようにすると、 右足と左足が平行になるので、
よいのである。
そんな感じの初日の剣道の授業であった。
寺本教官が、道場の太鼓を、「 ドーーん、ドーーん。」と、たたいて、大声で、「 やめーーーーー・」
と、号令をかけると、 かかり稽古をしていた、生徒も、防具を外して、私達と一緒にならんで、
整列したのであった。
寺本教官は、「 今日は、もうそろそろ、正午であるので、ここまで。」と、号令すると、 私達は、
「きょうつけ、 敬礼。」の号令で、敬礼すると、 ちょうど、お昼の食事の合図の、ラッパ信号が
海軍兵学校 武徳殿に、鳴り響いたのであった。
【次回に続く。】