第161回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第160話  小銃を生まれて初めて構える。               2012年7月19日 木曜日の投稿です。
 
 朝礼台の前の作業台の前で、30年式小銃を受け取っても列に戻った、安藤大尉は、教頭先生と話し込んでいて、
 
代わりに、服部少尉が、「になえー筒。」と、指示を出したので、全員、になえ筒の姿勢に、続いて、「捧げー筒。」と
 
いう号令で、小銃を前に両手で、出した。
 
「目標、校舎、伏せ撃ち用意。」と、号令がかかると、全員、地面に張り付いて、伏せ撃ちの姿勢になる。
 
後を、玉井上等兵が歩いていて、足のかがとが、でている生徒には、足のつま先で、つついて注意があった。
 
 
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     「射撃よーい、撃てー。」と言う号令がかかると、全員 引き金を引いた、「次弾 装填用意。」と
 
      号令がかかると、右手で、ゆうていをひいて、又元に戻した。
 
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           服部少尉が、「後方から敵、後に伏せ撃ち用意。」と、号令をかけると、みんな急いで、起き上がり、
 
           後を向いて、又、伏せ撃ちの準備をする。
 
           服部少尉が、「動作が遅い、もう一度、目標後方の校舎、射撃用意。」と叫ぶと、また全員、
 
           体制を直して、校舎の方に向かって小銃を構えた。
 
           「よーーい、撃てー。」のかけ声で、引きがねを引く、弾は入っていないので、カチンと音がする。
 
           服部少尉が、「全員起立、作業台の前に集合。」と命令すると、我々は小銃を手に持って、集合
 
           した。
 
           「これより、午後に説明したとおり、小銃を手入れして、木箱に収める実習をする、出来上がった
 
 
           生徒は、手を上げて検査を受けるように。」と、指示があり、我々は、作業台の上で、さく杖を抜い
 
           て、ゆうていをおこして、引いて、左の板をひいて、ゆうていを取り外し、さく杖の先に、布を、つけ
 
           て上下させて、銃身の中を清掃し、小銃の木部、その他を丁寧に拭いていると、左の方で、
 
           手を上げた人がいた。
 
           はやいのー、もう出来たのか、と、思いつつ焦らずに着実丁寧に行っていった。
 
           手を上げたのは、呉服屋の清水君だった。
 
           服部少尉が、どかどかと歩いていって、「出来たのか。」と訪ねると、「はい、出来ました。」と
 
           清水君が答えたのであるが、服部少尉は、小銃を見て、「ばかもーん。どこがすんでおるだ、
 
           銃床に砂が付着しておるではないか、やり直し。」と怒られて、はじめからやり直していた。
 
           きれいに小銃が拭けたので、手を上げた、服部少尉がどかどかと歩いて来て、「出来たのか。」
 
           と、聞かれたので、「はい、手入れが出来ました。」と返事をすると、小銃を手に取って、ためつ
 
           すがめつ眺めていたのであるが、引き金に指を入れて引くと、カチンと音がした。
 
           「引き金は、必ず引いて、落としておくように、バネが痛む、やり直し。」と、言われて、又はじめか
 
           やりなおしたのであった。
 
           少し離れて、校庭で整列している先生、生徒は、大変やナーと、いう顔つきで、小銃の手入れの
 
           実習を見学していたのであった。
 
           【次回に続く。】